ヤマカワ(以下:Y)、合渡(以下:G)
-「作る」のではなく「見つける」
G:元々アイラッシュのお店はあって、ロゴもceasevenと同じコンセプトで作ってもらってたんだけど、今回はそれより少し上質と言うか、ワンランク上のブランディングをしようと思ってた。これまでのアットホームな雰囲気のサロンから、大人ナチュラル・エレガントなサロンに舵をきるために新たな空間を作って、お店の名前もロゴも変えたいって話をヨウヘイにしたんだよね。
それで、名前は「ccccccc b.(ceaseven beauty)」に決まって、ロゴもこれまでとは違う雰囲気のロゴを作ってもらったんだけど、このccccccc b.の新しいロゴを作るにあたってヨウヘイが大切にした事ってどんなところだった?
Y:ccccccc b.のロゴは、無駄なものを削ぎ落としていったら、最終的にめちゃくちゃシンプルなものになったんよね。
シンプルなデザインって、パっと見では物足りなさを感じることがあるけど、あーでもない、こーでもないって色んなデザインを検証して、一周まわって原点に戻ったって感じもあるかな。
俺の場合、今回に限らず「ゼロから作る」というより「見つける」っていう感覚がデザインにもあって、ロジカルに、論理的に作り上げないとデザインじゃないみたいな話もあるけど、俺はそもそも昔から「発見」に近い感覚でものづくりしてて、その感覚を大切にしてるかな。
それがいい時も悪い時もあるけど。
G:自分で苦しみながら生み出すっていう感覚じゃなくて、ボヤっとしてたイメージみたいなものをより鮮明にしていくようなイメージ?
それとも、全くないものから発見していく感じ?
Y:どっちにしろ、最初から正解は見えてないかな。
ccccccc b.ロゴ
G:今回のccccccc b.のロゴあるじゃん?あれって2人で色々やり取りしてて、最後の方に出てきたアイデアだよね?
このテイストって、作り初めた時は全く想像すらできてなかった。だから、どの瞬間にこれが生まれたのかなって。
Y:俺もわからん(笑)
ただ、今になって考えてみると、ずっと「ひと塊(かたまり)」にしようとはしてたかな。
「c」と「b」、あと「7」をどうにか合体させたかった。「c」の丸みと「b」の丸みが繋がることに気がついて、そしたら「b」の縦線から「7」にも繋がるやん!みたいな。ヘアのロゴとも、どこかで繋がっていて欲しかったしね。
まー、ワンピースだよね。
(一同笑)
G:それが何かきれいな感じがする理由かもね。
パッと見で、ひと塊のデザイン。
映画の巨匠もよく言うんだけど、あえて解らせないようにするみたいな。
なんでだろうって思わせて、そこから見てる人の探究心が生まれてっていうのもある。
ヨウヘイのデザインにも、何かしらのクイズ性があると思うんだよね。
デザインで全て伝えるじゃなくて、実はこんなメッセージも含まれていますよ!的な。
Y:世代的なものかも知らんけど、そういうとこあるやん?全てをおっぴろげにするカッコ悪さみたいなの。
– 満足の値段
G:それは世代の問題なのかな?
同世代でも、思いっきりおっぴろげでやってる人もいるからね。
でも、たしかに俺らの周りには多いよね。
そういうところにお互い共感できるから、これだけ長く一緒にやっていけてるんだろうしね。
もう16年くらいの付き合いになるのか。
好きなものが似てると言うか、良いと思うものが似てるからこそ、ヨウヘイに安心して頼めるし、そこで思ってた以上のものが毎回必ず返ってくるから、良い意味で「サプライズを受けたい」と思っちゃうんだよね。
いろんなデザイナーさんとも仕事をするんだけど、やっぱり越えてきて欲しいじゃん!結果は。
デザインが上がってきて、費用はいくらですって。それが自分の想像の中に収まってるデザインなのか、考えてもなかったデザインで、見た瞬間に不安とワクワク感が入り混ざってるような、遊び心があってチャレンジングしてるデザインなのか。
実際にそれを選ぶかどうかわからないけど、一回そこまで昇華してくれてるって言う熱量は感じるじゃん。
デザイナーさんの仕事って分かりやすい値段がないから難しいよね。
例えばロゴを100万で作ってくださいって言われたらビビる?
Y:もし100万を払う人がいるとしたら、これから話すことは「おいおい」て話かも知らんけど、10万円で頼まれたロゴと100万で頼まれたロゴがあったとして、結果的に100万の方が優れてるかって言うと、そうとも言い切れなくて……なんていうか、大事なのはどれだけ依頼者に寄り添えてるかっていうか。もう値段とは別のところにあるよね。
G:美容師っていうのも値段はあってないようなモノっていう風に捉えられるけど、それでも地域とかである程度の値段は見えるからね。
例えば俺がカットで100万円はまず無理だしね。
Y:そら、俺だって無理やわ。
G:業界的な話だよ。
カメラマンとかデザイナーとかゼロから作る人達って、そのレベルの人もいるでしょ。
Y:俺は自分の値付けは苦手やし、やっても碌なことにならないと思うからやらへんけど、
ただ、まわりの人に恵まれてるなっていつも思ってる。
作ったモノに、本人が思う以上の価値を見出してくれる。値段をつけてくれる。高く買ってくれる。高く売ってくれる。なにより、必要としてくれてる。
そういう人がまわりにいてくれるから、こんなに永くデザイナーとしてやっていけてるんだと思う。
俺ももうすぐ25周年やで、引退かな?(笑)
G:なんていうか、難しいよね。一生やれるっちゃやれる仕事じゃん?
でも明日、誰からも求められなくなる事だってあるし。お互い40歳過ぎて、将来いつまで仕事する?
Y:ちょっと前に若い子に「夢ってなんですか?」って聞かれた時に、パッと答えられない自分がいて、それが悔しくて、
改めて夢って何かなと思って考えたんよね。で、最終的に出てきたのが「右手にマウス持った状態で死にたい。」ってことやった。
だから、もし叶うのならプレイヤーとして死にたい。かな。
G:生涯プレイヤーだね。
それは、常にどこかの組織に所属してるイメージ?
Y:いや、それは決めてない。というか関係ない。
どこにどう求められてるかだけ?
G:そっか~~。それはいいよね。
Y:やっていけるかわからんけど。
G:俺もそうじゃん。
「切りたいです」って言っても、お客さん来てくれないと「もう引退してください」って言われてるようなもんだから、
常に世の中から必要とされる美容師でいつづけられるように、そこは努力をしないといけないと思ってる。
でも、ジジイになったら物理的に今と同じぐらい働けないかもしれない。
だから今後は、美容師というよりかは「職業ゴウドシンスケ」っていうのを作ってかなきゃいけない。
Y:俺、そこ就職していいですか?
G:不採用!
(一同笑)
– 漁業であり農業
G:三軒茶屋にこれだけお世話になってるから、もっとより良く、楽しくみたいなのを、4WDってメディアを通じて少しずつやっていければいいかな。最悪、美容師として需要がなかったとしても「ゴウドシンスケ」としての需要を作っていければ楽しくやれるかなと思ってはいる。
Y:それはすごいよね。ホンマに。
俺には無理。デザイナー以外できないしね。
G:俺って基本、八方美人じゃん?器用貧乏とも言われるけど。
表裏一体だよね。
Y:それはどこから見るかってだけじゃない?俺もある意味そうだし。
G:若い子達といろいろ話をしてて、自分もまだまだ頑張らなきゃいけないなって最近思うことが多くて。
ヨウヘイにはクリエイティブでバンバンやっていってもらいたいし、俺は俺でデザインもやってみたいしね。
チャレンジをしていきたいね、人生ずっと。
Y:大きなカテゴリーではデザインなんやけど、例えば今回のロゴやと、個人的な感覚としてはロゴデザインというカテゴリーですらない。
いつもやっている仕事もそうやけど、ceasevenのロゴとccccccc b.のロゴは、極端な話『漁業と農業』ぐらい感覚が違う。
表面的な話ではなくて、それをすることに対する俺の感覚が違う。って言えばいいのかな?
だから、デザインで行き詰まった時にデザインで息抜きをしたりするんやけど、これ言うと、だいたい「変態ですね」って言われる。(笑)
でも、俺にしてみたら「漁やってて、飽きたから野菜育てよ」って思ってる感覚に近いかな。
それは、もう全然違うものやねん。
G:なるほど!
Y:だから、それが息抜きにもなるし、気分転換もできる。
G:それ素晴らしいね!楽しいでしょ!!
俺息抜きでカットしないもんね~。
この前ロング切ったから、ショートスタイル作って息抜きしようとか。
美容師以外の色々やりたいことで息抜きしてるっていうのがあるかも。
その息抜きは、「何かしらに繋がってる息抜きであってほしい」というのは自分の中にある。
終わり
ccccccc b.
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