リョージ(以下:R)、合渡(以下:G)
RYOJI YAMADA SHOW REEL 2018 from Ryoji Yamada on Vimeo.
– 経絡秘孔を突かれた流川楓
G:早速だけど、リョージが絵を描くきっかけって何だったの?
R:唐突っすね!
親父が多趣味な人で、家でギターを弾いたり油絵描いていたりしてて。
物心つく前からその真似事をしてたのがきっかけっすかね〜。
G:え!!クラプトン並みにギター弾けるの?
R:まさか!
というか、全然弾けないっす(笑)
絵は好きで描いてたんですけど、誰にも言えなくて。
絵を描いてるってちょっと男っぽくないじゃないですか。
男は元気に外で遊ぶもんだって親父に言われてたし。
確かにそうだなって思ってて。
小中高はサッカーやってましたよ。
G:俺もサッカーやってた!
マラドーナばりに(キリっ)
R:そうなんすね〜〜〜・・・・(シラ)
で、アニメーションの制作会社に入社して、1ヶ月目にフットサルで右手折ったんですよね〜〜〜。
G:その神の右手を〜〜??
で、仕事どうしたの?
R:だから左手ででやってて・・・。
当時、右手はちょっとしか動かなくなっちゃって(汗)
「これは元には戻りません」って医者にも言われて、マジか〜〜って感じでした。
それで手術2回やってプレート入れたりもしました。
その時のレントゲン写真がポップすぎて、 Tシャツにプリントして友達に配ってましたけど!
G:それ最高だな!!
R:医者にあなたは終わりですって言われたみたい。
アニメーターオワタって。
G:それ H 2(あだち充作)じゃん!!
R:俺、H 2見てないんですよね・・・。
それで仕方がないから、左利きなろうかなって思ってた時、知り合いがチャクラを操れる人を紹介してくれて。
そんな人いるわけないと思ってたけど、それで治るんだったら儲けもんだなと思って、実際そこにいって、経絡秘孔を突いてもらったらすげえ動く〜〜〜!
G:ケンシロウかよっ!
否、NARUTOかよっ。
でも描ける様になって良かったね!
学生時代はどんな絵を書いていたの?
R:今のアニメの世界観に割と近いものを描いてたんですけど、絵を描いてること誰にも言ってなかったから。
絶対誰にも見せずにいましたね。
G:その作風は誰かアーティストの影響を受けてとか?
R:母親は歴史の学者で親父は歴史の先生で、特に母はポーランドのホロコーストの研究とか、東ヨーロッパとかロシアのニコライ二世の歴史とかやってたから、家に画集がいっぱいあって。
俺がドイツに留学するって言ったら母親はガッカリしてましたね。
G:歴史的に対立してたからね!
R:今は見ての通り不真面目なんですけど。
中学まではすごい真面目で、高校は家から近い埼玉の進学校に行ってました。
G:それ、スラムダンクの流川(楓)的だね。
R:あ、それ今後使っていいっすか??
進学校に一生懸命勉強して入ったんだけど、入ってすぐやる気なくなっちゃって 。
その時仲良かった友達にだけは将来のこととか話ししてて。
初めてそいつに絵を見せたら「いいじゃんっ」て言われて、「こういうのやっていいんだ!」って思わせてくれました。
それで、イラストとかできる専門学校に行きたいっていう思いが出て来て、親に高3の夏ぐらいに「専門学校行きたいんだけど」って言ったら、親は大激怒!
父親は高校で進路相談やっていて、みんながそうじゃないと思うんですけど、「俺の教え子で美術系の専門学校行って2年後に絵を描いてる奴は一人もいない」って言われた。
G:それが現実なのかもしれないけどね。
R:親に止められて普通に一浪して、多摩美のグラフィックに入りました。
いわゆる佐藤可士和さんとかの広告系ですね。
せっかくそっちに行ったのに、今はアニメーション。
広告とか憧れてたんですけど、映画・音楽・アニメとかいろいろ知っちゃって。
多摩美のグラフィックのアニメーション展示を見て「これだ!」と思って!
G:それでやれるんだからすごいよね!!
R:最近聞いた話なんだけど、実は親父側の親戚が芸術一家だったって。
G:そうなの??
親父さんは逆に苦労させたくなかったのかもしれないね。
俺も息子には美容師させたくないから。
いい仕事なんだけど、大変なことも多いし。
1周見て回って、それでも美容師やりたいって言うんだったらとことん行けって思う。
親父が美容師だからっていう安易な考えでやりたいとかだったら、「やめろ」って言っちゃうな。
色々経験して、色々チャレンジした結果、やっぱり美容師やりたいって思ったら頑張れって言う。
息子にとって、今1番近い職業だと思うから・・・。
親父の影響ってデカいよね。
R:1番倒したい相手ですしね。
– 流川楓はレンガ職人
R:例えば、100年保ちますって言うレンガを作り続ける職人なるのか、1年しか保たないけどめちゃくちゃ綺麗なレンガを作りたいのかっていう2択があるとするじゃないですか。
極端な話だけど、なんなら両方やりたい!
G:職人かアーティストかって話だよね。
本当に一部だけど、世の中にはアーティストとしてやってる人たちもいる。でも、その人たちの生みの苦しみってすごいと思うんだよね。
自由って恐怖じゃん!
なに作っても良いよって言われてるみたい。
それって、まずとっかかりを探すところから始まるよね。
「キーワード」とか「テーマ」とか、そういうところから探したなきゃいけないし、何のヒントもないところから動かなきゃいけないってすごいパワー使うし、ストレスだし、恐怖だし。
そういった意味では、俺の仕事は絶対的にお客さんがいて、お客さんのニーズがあって、それに答えを出すことがクリエイターの仕事だと思ってる。
「おまかせ」ってたまにあるけど、実際は「おまかせ」って言われても、その人の生活があって世の中の流れがある。
その人を汲み取る作業は絶対必要だから、それは100%のアーティスティックではないと俺は思ってる。
俺はアーティストっていう才能を持ち合わせてないから、本当に自由にやっていいよって言われた時に何していいかわからない。
髪の毛全部剃って新しいヘアスタイルですっていうのがアーティストだったりするわけじゃん。
そんなの絶対できないから。
– 半歩先にひょっこりはん
G:アーティストとして活動してて、世間的な評価もしっかり受ける人ってなんなんだろうね。
音楽で言ったら、細野晴臣さんとかは、「はっぴいえんど」「 YMO」「 インド音楽」という流れできてて、それはずっと最先端行ってたし。
ミシェルゴンドリーもずっとすごい。
R:細野さんとかミシェルゴンドリーの話になって、おこがましいんですけど「何かわかるな」ってことがあって。
実際楽しんでる感じがあって、尚且つ、そこを自信を持って自分で発信してて。
「今これやりたい」「 やってみたい」が大事。
それがお金になるかならないかは別かもしれないけど、そういう事やってるのが1番楽しい。
でも、俺はこれだっていうのはそんなにないんです。
G:俺も、それは本当に重要だと思ってて。
細野さんもミシェルゴンドリーも、今を生きてて色んなことを感じて、今にないもので、こういうの楽しいよねって実験的なものを出している。
実験的って言っても、結局今を生きてて発信してるから、今につながってるわけじゃん。
それを出してすぐじゃないけど、ちょっとしてから評価されてる。
その人たちがちゃんと時代を感じてるんだって俺は思う。
出した瞬間、周りが「ポカン」としちゃうような、20年30年先のズレじゃなくて、半年とか1年の半歩先行ってるぐらいのずれだから、そこは表現者としてすごいなーって思う。
R:そういう人たちって、山篭って考えてない感じがありますよね。
ちゃんと時代を感じてる。
G:元々あったちょっと先の道に「ポン」ってソレを置いただけ。
それで、世の中が道を何となく進んで行ったら、そこにミシェルゴンドリーがいたっていう事だと思う。
この前、お客さんからceasevenみたいなインテリアって最近流行ってるよねて言われて。
でも、店作ったの4年前なんだけどね。
工場ぽいとか工業系とか打ちっ放しとか。
5年前に、次作る店はこんなテイストの作りたいって思ってて、デザイナーに「次はインダストリアルな空間を作りたい」って言ってた。
工場で使う棚とかを買って、配管むき出しにしてくれって。
俺は別に早いとか思ってなくて、その時それがかっこいいと思ってやっただけなんだよね。
R:アンテナの立て方の話ですよね。
G:運良くその道のところにちょうどアンテナを立ててただけで、その時は流行りを先取りしようとは思ってなかった。
ただ、その時「自分が作りたいお店ってなんなの」って考えた時に、工業ぽい無骨なサロンを作りたかった。
それが4年経った今、世の中の流行りになってる。
俺の中では特に変わった事してたわけじゃなくて。
瞬間瞬間で、自分が楽しいかワクワクしてるかが重要。
正解ってそこにしかないしね。
自分の時間を使ってるし、借金もしてる。
誰かにウケたいとか、そういうビジネス的な考えもなければいけないかもしれないけど。
でも、まず一番喜ばせなきゃいけないのは自分自身だし、自分がワクワクすれば感覚が似てる人たちも絶対ワクワクしてくれるはずだし。
俺はそうやって何かを作りたいし、お金を使うんだったらそういう風に使いたいな。
前半終わり
山田遼志-ヤマダリョージ
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